Dear my teacher【 sh × kt 】 (ページ39)

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kaito side

なんでこうなっちゃったんだろう。自分で提案したくせに、やっぱり普通に辛い。平気だとか、全然余裕だとか、そんなのは虚言に過ぎない。

「A、帰ろ」
「……うん」

クラス中に俺らが付き合ってるという噂が広まった。今に始まったことじゃないけど、今回のは結構痛いな。肯定も否定もせず、俺の隣を選んだAは何を考えているんだろうか。気を遣わせてることは１２０%確かなんだけどさ、今まで通りには……っていかないよね、うん、分かってた。

「大学決まった？」
「まだ」
「将来やりたいことないの？」
「……英語の先生」
「……え、」

" 俺と一緒のとこ行こうよ " ……だなんて、軽々しいことは言えなかった。だって本気じゃん、それ。だって、もう、そういうことじゃん。聞いた俺が馬鹿だった。俺の心を平気でズタズタに切り裂く。

「……紫耀くんは関係ないよ」
「……そっか」
「海人、」
「ん？」
「海人を好きになるように努力する」
「え……？」
「付き合おう」

夢ならば覚めないで欲しい。Aの笑顔を見続けるのは俺がいい。多くなんて望まないから、嘘でもいいから、その笑顔を俺だけに見せてよ。

４時間目の終わり、割と仲良い現代文の先生に「恋愛は自由だけど勉強はちゃんとやれよ」と言われた。「え？なんで知ってるの？」と聞けば、職員室でも噂になってるんだってさ。ってことは、じゃあなに、平野も知ってんの？……あんな涼しい顔しちゃってさ、気が気じゃないくせにさ。その余裕な表情がムカつくんだよ。わざと俺をノート運び係に任命したのだって、意図的でしょ。分かりやすいんだよ、ほんと。

俺を好きになるように努力をする、って言ったAは俺と喋ってても、廊下を通り過ぎる平野を目で追って、泣きそうな顔して授業受けてんの。平野はどんな魔法をかけたのさ。どうしたら、その魔法が解けんの？

「あんたなんかに絶対渡さねえから」

宣戦布告。言ったもん勝ちだよ、こんなの。そっちにその気がないなら、俺が奪うよ。何も言わずに俺が投げ捨てたノートを拾い上げた平野は俺に動揺１つも見せなかった。

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