▽ sh ページ38
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「図星？」
「大人をからかうなよ、何が言いたい？」
「単刀直入に聞くけど、Aのことどう思ってんの？」
「………」
「中途半端に期待させて何が楽しいの？」
「お前、」
「何が大人だよ、ふざけんな」
自分のノートだけを手に取り、俺に向かって叩きつけるように投げ捨てた。
「あんたなんかに絶対渡さねえから」
勢いに圧倒されすぎて、何も言えなかった。最近の１８歳は言うことが違う。こいつらの方が何倍も大人な気さえした。物音に気付いた数人の先生が寄ってきて「おうおう反抗期か？」と茶々を入れてきたけど究極の苦笑いで、その場をやり過ごした。
バラバラと落ちたノートを集めて顔を上げると察しがいい夏井先生が立っていた。
「平野先生、そろそろまずいんじゃ……」
「あぁ、……大丈夫です」
「私には気遣わないでくださいね」
「はい、ご心配ありがとうございます」
また繰り返す苦笑い。何も気にしてない素振りなんて、なんとかなんだよ。だけどさ、心ん中はもうめちゃくちゃ。それを見透かす夏井先生にも恐怖を感じた。
�盒兇猟�発に受けて立とうなんてバカな考えも浮かんでさ。ほんとだよな、何が大人だよ。自分でも笑っちゃうよ。
放課後になって、先程お願いされた生徒の元へ。
「お待たせ」
生徒「あ、平野先生やっと来た」
「ごめんごめん」
生徒「全然大丈夫で一す」
「どこからやろっか」
生徒「えっと、今日の３４ページから……」
「ああ、オッケー」
あいつ以外の生徒は２人きりでも何もなかった。
………それが普通なんだけどさ。
廊下から俺らを見つめる葉山に気付くはずもなく、俺は、ただひたすら教師を全うした。
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作者名：詠夢
| 作成日時：2021年8月10日 17時
