Dear my teacher【 sh × kt 】 (ページ20)

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紫耀くんはまた窓の外を見つめた。

「平野先生、」
「やめろよ、改まって笑」
「……私、勘違いしちゃうので優しくしない方がいいですよ」
「……は？」

困らせたいわけじゃない。

だけど、このままこの人とこの空間を味わったら今度こそ抜け出せなくなる。叶いもしない恋心を永遠と胸にしまって生きていかなければならない。あんな質問しなきゃ良かったね。問題集を濡らすのは自分の涙だと知った途端、止まることを知らない。

どんどん紫耀くんの魅力にハマっていくから。視界がボヤけて目の前が滲み出す。

「ちょ、おい、葉山、」
「だから、優しくしないで……っ」

肩に触れてきた手を拒否することなんて、できるわけがない。分かってるくせに、そんなのズルすぎる。大人の余裕を突きつけないで。

「勘違いしてくれていいんだけど」

優しく囁くその声を聞き間違えるほどバカじゃない。

もう一度触れたのは、大きな手のひらでもなく、分厚い胸板でもない。

「しょ、うくん」

ガタンっ

倒れた椅子と同時に触れた唇。

取り返しがつかないこの心も、唇も、全てを奪われた。

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