Dear my teacher【 sh × kt 】 (ページ14)

今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:70,665 hit

・ページ14

．

「おはよ」
「……うわ！……おはようございます」
「うわってなんだよ、うわって！」
「ビックリしただけ！」

朝から紫耀くんに会っちゃって、誰もいない廊下でグイッと近付かれ耳元で囁かれた瞬間、昨日のことが蘇る。

……なんなの、もう。

出席簿と英語の教科書を同時に持ち上げてヒラヒラ手を振り、立ち去る紫耀くんを目で追ってれば「紫躍くん？」 ……耳元で聞こえるこの声は海人だ。

「ちょっと！急に現れないでよ！」
「なんだよ、平野だったら言わないくせに」
「しーっ！」
「ははは笑」

完全にバカにされてる。昨日の電話では真剣に話聞いてくれたのに。そのまま予鈴が鳴って２人で教室に入る。英語は２時間目だ。朝から幸せだったなぁなんてやっぱりやめられない気持ちを抑えつつ１時間目が始まった。

「ねえ、シャー芯ちょうだい」
「ん、いーよ」

隣の海人が私のペンケースを漁り出す。シャー芯が入ったケースをトントン机に当てながらチラッとこちらを向いた。

「ん？なに？」
「んーん、サンキューね」
「うん」

高校生という肩書きを背負いながら頭のどこかで思い浮かべる将来のこと。行きたい大学も未だに見つからず、ただ彷徨ってるだけの受験生。海人は、将来のこと考えてるのかな。

．