Dear my teacher【 sh × kt 】 (ページ9)

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来る日も来る日も真面目に授業を受けてる私に紫耀くんは絡んでこなくなった。そっか……所詮、私は問題児扱いだったんだ、と気付くと虚しくなった。

最近の悩みは、英語の文法が全く理解できないということ。紫耀くんに聞きたいけど、やっぱり駆け寄って行く生徒たちの量がエグい。やっぱり私は出る幕なしだ。

「葉山、」
「……え、」
「帰りちょっといい？」
「……うん」

突然の出来事に後退り。

やっぱり声を掛けられると心臓が痛くなる。ギュッと掴まれたような感覚。どうしたって目で追っちゃうし、昨日も今日も毎日かっこいい。いつもの空き教室。言わずに分かってしまう暗黙のルールみたいで妙にドキドキしてるのは、きっと私だけ。

「ごめん遅くなって」
「お疲れ様です」
「この短期間で随分とよそよそしくなったな」
「真面目になったって言ってください」
「英語だけ手抜いてるだろ」

バレてた。

英語だけはいつも平均点以上が取れない。

そこには触れてこなかったくせに、今更なんなのって感じだけど内心、飛び跳ねたいくらい嬉しかったりもする。何百人もの生徒を抱える紫耀くんが私のことを認識してくれているだけでもう充分なのに。

「どこが分かんない？」
「教えてくれるの？」
「当たり前だろ」

その " 当たり前 " に込められている意味は、私が生徒だから。自分が教師だから……と言われてるようで、心の半分以上はもどかしさが占めた。そして、紫躍くんの特別にはなれないのだと実感する瞬間でもあった。所詮は生徒、個別で授業している子だって多いだろう。その過半数に私も入るのなら、もういっそ委ねようと妥協した。

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