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気まずさを微塵も感じさせないところがまた私を傷付ける。どうして普通でいられるの？それとも何、私以外にも……？
「……違う違う違う、」
首を横に振って自問自答を繰り返す毎日。英語の授業がここまで憂鬱になるのは初めてだ。出来れば顔を合わせたくない……って思ってたのに紫耀くんを見ると一瞬で熱が上がってあの日が思い出される。
＿＿「勘違いしてくれていいんだけど」
夢にまで見たロづけを、あんな簡単に、あんな軽々しく……考えただけで、まだ心臓がドキドキしてる。近くで感じた紫耀くんの匂い、まだ鮮明に覚えてる。
＿＿「知ったら幻滅する」
ずるいよ、そんなの。どうして私は１８歳なの？どうして紫耀くんは２２歳なの？たった４歳の違い。どうにもならない感情が疼き出す。
例え幻滅したって、 私があなたを好きな気持ちは変わらないのに。
「�盒供△海慮綮�間あるけど見ようか？英語」
「えっ？……あ〜、今日はAと勉強なんで」
「……寝てるけど？」
「起こすから大丈夫！」
「ん、じゃあ頑張れよ」
「ごめんね、先生」
見ないでも分かる、紫耀くんの掠れた大好きな声。窓側向いて机に突っ伏す私の隣で声を掛けられる海人。いつも通り冷静な声色。私を視界に入れてくれたのだと思うとやっぱりどうしようもなく胸が締め付けられる。去って行く紫耀くんの背中を目で追いながら隣の海人を脱む。
「勉強なんて聞いてないんだけど」
「嘘だもん」
「英語だって得意なくせに何で紫耀くんに頼んでんの」
「俺の勝手でしょ、 ほら帰ろ」
「図書室寄って帰る」
もう一度だけ海人を睨んでカバンを持ち教室を出る。馬鹿だ、ほんと。ただの八つ当たり。海人が追いかけてこないのは分かってた。そのままの足で図書室に向かう。
何人かの生徒がチラホラ。一番奥の席を探して座った。
海人：ごめん
静かな図書室で響くバイブ音。画面を見れば海人から。海人は何も悪くない。私の為にああ言ってくれたのに。
" ううん "
数秒で既読がつき、それからは何も返ってこなかった。ノートと参考書を取り出してシャーペンを握る。両耳にはイヤホンをつけて、何もかもの騒音を遮断。ただただ文字を書いて、ひたすら問題を解いた。
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作者名：詠夢
| 作成日時：2021年8月10日 17時
