Dear my teacher【 sh × kt 】 (ページ22)

今日:8 hit、昨日:10 hit、合計:70,649 hit

▽ sh ページ22

．

「……あー、さっき補習終わったからまだ教室いると思う」
「ありがと！……あ、ねえ先生」
「ん？」
「俺にも英語教えてね」
「お前は余裕だろ？」
「そんなことないよ、先生には敵わないもん」

意味深すぎる微笑みを向ける部活終わりの髙橋。先程の行為を後ろめるようにシラを切った。あいつはまだきっと泣いてる。慰めるのはきっと髙橋なのだろうか。

「……まあ、空いてたらいつでも」
「ん！じゃあねー」

ヒラヒラ手を振って去って行く背中をしばらく見つめた。ふと開いた問題集の１ページ。濡らす涙の跡に罪悪感が込み上げる。余白に書かれた葉山のバランスの取れた綺麗な英文を見て、解読するまでに３秒。

" Please marry me. "

＿＿「んー、紫耀くんと結婚する」

あの情景が一瞬で浮かんだ。こんな大人になりたかったんじゃない。思い描いていた未来とは、かけ離れすぎてる。

いくら頭の中の記憶から消そうとしても、たった一度の過ちを誰も許してはくれないだろう。

「平野先生？」
「……ああ、お疲れ様です」
「お疲れ様です。 ……顔色悪いですよ、大丈夫ですか？」
「……大丈夫っす、」

夏井先生に触られそうになった腕を振り払った。もう誰も俺に触れないでくれ。こんな汚い男を、放っておいてくれ。

怯えたように俺を見る夏井先生に背を向けて職員室を後にした。

．