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(Donghyuck)
終に顔を上げて何か言いたげに口を開いたと思えば、
その直後には噤んで、
瞬きもせずにこちらを見つめる。
初めてもらったというファンレターに
慌てながらも頬を染めたり、
大して面白くもない冗談に独特な笑い声を上げたり、
おれが仕掛ける悪戯に珍しく声を荒らげたり。
思い返して浮かぶのはどれも、14歳の等身大の姿だ。
曲がりなりにも約一年の仲であるから、
この人のことは大体解っていると自負していた。
だが、一体何だ、この表情は。
物理的におれと目が合っている筈なのに、
心はどこか違う場所に在って
遠くに何かを見るような、そんな
つい10秒程前までは
答え合わせをお預けにされ続けていることに
歯痒さを超えた苛立ちを感じていたが、
初めて見る姿に目が離せなくなった。
どれくらいの時間が経っただろう、
トランス状態から放たれたかの様に
意識を手繰り寄せることに成功したおれは、
変わらず仰望する様子に、今度こそ声を上げる。
「やあ！イ・マーク！」
その体が小さく跳ねて、
ゆっくりと焦点が戻るのを感じた時、唐突に
長い間閉じられていたその小さな口が動いた。
「あの子を、見つけた。」
刹那、黒目勝ちな瞳が揺れて
鈍い光が灯るのを奥深くに見た。
青い炎は一見穏やかにも映るが、
摂氏千度を超える熱さから
非常に危険だと誰かが言っていたのを思い出す。
それ以上の説明など、もう、必要なかった。
この
———紛れもなく、慕情を抱く人間のそれだった。
《知らない感情》Fin.
Ep.3 New Place, New Life and the Same Old Me→←2-6
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Ray.(プロフ) - あいさん» こちらこそコメントとっても嬉しいです、ありがとうございます！できるだけテンポ良く更新できるよう努力しますので、お時間ある時に覗いていただけると嬉しいです。 (2021年7月20日 8時) (
レス) id: 18d9311fdb (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 更新うれしいですーー！！これからも楽しみにしてます！ (2021年7月19日 21時) (レス) id: b7f70cfb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ray. | 作成日時：2021年6月24日 0時
