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ATSUSHI side
部屋に籠ってからも、Aが泣いていないか気になったけれど、あんな事を言ってしまった手前、すぐに謝る事が出来なくて作業に没頭しようとした。
が、手に付くはずなんてなくて、どうしようか部屋の中をウロウロと歩き回った。
ドアに耳を当てて外の物音を聞こうともした。
部屋の外からは、泣き声どころか物音一つしなくて、不安になった俺はそっとドアを開けた。
『A?』
いくら呼んでも、どこを探しても、Aは返事をしないし出てきてくれない。
携帯に電話をしてみると、ソファーの端でブーブーとバイブ音がした。
急に音がして、俺の邪魔にならないようにと…Aなりの配慮だと思うと、愛しさが込み上げてくると同時に自分の失言を悔いた。
『どこ行ったんだよ。会話も出来ないのに…』
窓の外を見ると、公園の中で男の子とサッカーしているAを見つけた。
『下手くそだな(苦笑)』
見つけた安心感と転びそうになりながら楽しそうに笑っているであろうAの姿に自然と頬がゆるんでいた。
男の子と手を振って別れたAは肩を落としてベンチに座った。
ゆっくりと後ろから近付くと、俺が踏んだ枯れ葉の音を聞いて固まっている。
『さっきはゴメン』
ゆっくりと振り返って立ち上がったAを抱きしめた。
『いえ…そのおかげで小さなお友達が出来ました』
うん、知ってるよ。
君のそういうところがたまらなく愛しい。
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作者名:花梨 | 作成日時:2017年5月22日 16時