122 ページ22
『ATSUSHIさんが、海外に行くってニュースを聞いて、思わず紗英ちゃんに電話してしまって…ほんとに迷惑かけるつもりなんてなかったんです。あの頃、ATSUSHIさんが悪気があってそうしてたわけじゃないこともわかってます。わかってますけど、改めて謝られると再確認させられるようで…惨めになるんです。だから…』
声を震わせながら泣くのを懸命に堪えて話すAをATSUSHIはただ見つめていた。
『こうしてお会いするのは、これが最後になると思うんです。だから…最後ぐらい笑ってさよならしたいんです。』
無理矢理笑顔を作ろうとするAの手の甲をATSUSHIは親指でスーッと撫でた。
A『俺の話したいことにはまだ続きがあるんだけど…』
『続き…ですか?』
A『うん。ちょっと、長くなるかも…家に着くまでに終わるかな(苦笑)』
Aの家はもう見えている。
『じゃあ、あそこで聞きます』
Aが指さしたのは、別れ話をした公園だった。
A『えっ?あそこ?縁起悪くない?(苦笑)』
ATSUSHIの言葉にAは思わずクスっと笑った。
199人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:花梨 | 作成日時:2017年5月22日 16時