116 ページ16
かけた電話に紗英ちゃんが出る事はなくて、思わずかけてしまった電話だけに、ちょっとだけホッとした。
翌朝、紗英ちゃんからLINEが入っていて
電話出れなくてすみません。
ATSUSHIさんの事ですよね?
詳しい事は分からないですが、近々会えますか?
それまでに剛典に聞いてみます。
そんな内容が記されていた。
私なんかより、随分忙しい紗英ちゃんだから、紗英ちゃんの予定に合わせるよと返事をしておいた。
そして、指定された場所と時間。
それが今日。
いつもは女子が好きそうなお洒落なお店なのに、今回は渋めの和食屋さん。
紗『20時に【田代】で予約してます。ちょっとだけ遅れるかもしれないので、中で待っててください。』
お昼過ぎに電話があって、言われた通り通された部屋で待っている。
落ち着いた室内で、ほんのり香る畳の匂いに癒されていると、襖の向こうから声がかかった。
店『お連れ様がお越しになりました』
きっと女将さんなのだろう。
品の良い女性の声とともに、スーッと開かれた襖の向こうに思わぬ人が立っていて息を飲む。
199人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:花梨 | 作成日時:2017年5月22日 16時