My Dear Lady 3 (ページ13)

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ライブが始まって、ATSUSHIの声も順調で、前回とはちがった意味で涙が溢れてくる。

隣の麻衣は、泣いているAに驚いたのか二度見してきたものの、それには触れず楽しんでいるようだった。

そして、本日のスペシャルゲスト

ステージ中央に現れた人影に、会場が悲鳴に包まれた。

麻『ちょっ！マジで？Aさん！SHUNさん来ちゃった！』

大興奮で肩をバシバシ叩いて来られても知らないし…

それでもステージ上で歌う二人の姿に釘付けになっていった。

モニターに映し出されたATSUSHIの泣いている姿。
周りのファンの人達の涙。
第一章の頃なんて全然知らないのに、気が付けば人目も気にせず泣いている自分がいた。

ライブも終わり、それぞれが余韻に浸りながら会場を後にする。

麻衣と駅に向かおうとすると後ろから肩を叩かれた。

紗『Aさん、もう帰っちゃいます？』

『あ…紗英ちゃん。うん、帰るよ？』

紗『…ちょっとだけ行きますか？』

そう言って紗英は会場を振り返った。

静かに首を横に振ったAに、紗英は何か言いたそうだったけれど、それ以上誘うこともなかった。

紗『また連絡しますね』

立ち去る紗英の後ろ姿を見送り、麻衣と駅に向かった。