笑顔にさよなら ページ30
「わ、たし…」
何と言えば良いのか、私はどうしたいのか、分からなくて握り締めた拳と声だけが震えて、副長はそんな私の手を取ると「A」と優しく私の名を口にする。
「俺は昔からずっとお前を見てきた、だからまだ万事屋の事が好きなのも知っている。それで俺に惚れろ、と…そういう事を言っている訳じゃねェんだ」
頭に乗せられた手は優しく、愛おしそうに、髪の上を滑る。銀さんに帰って来て欲しい、そんな願いから伸ばし続けた髪の毛だ。
「ただ、ずっとこのままで良い訳がねェんだ。俺はてめェの気持ちが解るから…だから、前を向いて生きて欲しい。時間が解決するかも知れねェ、だけど…」
時間は有限だ、副長はそう言って私を引き寄せる。触れた部分が温かくて、いつか銀さんに抱き締められたあの日と重なる。
「私は…」
どう、したいのか。
どう、在りたいのか。
分からない。
だけど、目を閉じれば真っ先に思い浮かぶのは銀さんの笑顔、私がずっと想い続けてきたあの人だ。私はこの笑顔に"さよなら"が言えるだろうか。
(銀さん…どこに居るんですか?)
私は…どうしたら良いの?
どうやって前を向けば良いの?
一度止めてしまった足はどうやって動かせば良いのか、副長の腕の中で私の足は完全に止まってしまった。何も言えない私は…ただ黙って副長に抱き締められ続けるのだった。
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - 総悟13さん» 毎度ありがとうございます!涙…と、取り敢えずハンカチをどうぞ!!助けたいのは山々だったのですが今回はここから大きく動くので…どうなるかドキドキして頂ければ嬉しいです( ´ ▽ ` ) (2017年3月4日 21時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
総悟13(プロフ) - 衝撃のラストに涙してしまいました......。こういう死の縁に立った主人公、ヒロインは助かるのが定番ですが助からないとは......本当に衝撃です。次も楽しみにしています!! (2017年3月4日 12時) (レス) id: 467c9905a7 (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬ましろ(プロフ) - 桃乃さん» そうなのですか…!励ましのお言葉、本当に嬉しいです。私も頑張ってこの子を皆さんに愛される子にしたいです、頑張りたいです。応援、本当にありがとうございます。最大の励みになりました!! (2017年2月22日 20時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
桃乃(プロフ) - お返事ありがとうございます。私も以前、活動させて戴いてたときにスランプになりましたよー!でも、お腹を痛めて生んだ子(作品)は自分が思っているよりも凄く良い出来になってる筈なので自信を持ってくださいねー!応援してますっ! (2017年2月22日 18時) (レス) id: 3b34613ca3 (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬ましろ(プロフ) - 桃乃さん» コメントありがとうございます!最近少しスランプ気味で思う様に書けていなかったのでそう言って頂けて本当に嬉しいです。これからも桃乃さんに楽しんで頂ける様に頑張ります。 (2017年2月22日 11時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月ヶ瀬ましろ | 作者ホームページ:http://twitter.com/hearty__smile
作成日時:2017年2月19日 18時