拝啓××様 4【銀魂】

大丈夫 ページ28

＊＊＊



「だから…会って下さい」


借家に帰ってから私は局長に全ての真実をお話しした。私が言い終わるか、言い終わらないかの内に局長は駆け出す。多分、間に合うと思う。

あれから新八くんは確かな返事はくれなかった。だけど、ちゃんと分かってくれていると信じて…あとは局長を信じて、私は全てを話した。局長の背中を見送って私は一息を吐く。


(お妙さん…局長……)


二人は…会って何を話すのだろうか、再会に喜んでくれるだろうか。未だに私がした事は正しいのかは分からない、でも正解なんてどこにも無いとも思う。そんな事をぼんやりと考えていたら、


ガラッ


「あ…副長」
「こんな所で突っ立って何やってんだ」


外から副長が帰って来た。副長は玄関先に佇む私を見て小首を傾げる。「私も丁度帰って来た所なんです」と小さく笑った。


「そうだったのか、さっき近藤さんが慌てて出て行きやがったから何かあったのかと思ったんだ」
「あ…そうですね、でも局長なら大丈夫だと思います」


丁度そこで出くわしたのか、私は局長の武運を祈るしかなかった。副長は「そうか」と呟いて懐へと手を入れる、そして取り出した煙管を口に含んで「お前は」とこぼした。


「お前は大丈夫か？」
「へ…？」
「最近、顔色悪ィぞ」


そう、言われて…ここ最近の自分を振り返る。特に変わった事は無かったと思う、忙しさなら昔の方がずっと大変だった。「大丈夫ですよ」と私は拳を作って笑う、心のどこかで密かな限界を感じながら。


「…じゃ、ねェよな」
「だから大丈夫って……」
「俺はそんな見え見えの嘘を聞く為にこんな事言ってる訳じゃねェんだよ」


煙を吐き出して副長は眉間に皺を寄せる。その目は私の心を完全に見透かして、漠然と鎮座する不安を見抜いていた。私は誤魔化す様に「嘘なんて言ってませんよ」と。


「平気ですよ…全然。こんなの大した事ない。新八くんや神楽ちゃんに比べたら…全然」
「比べるモンじゃねェだろ、てめェが無理をしてるなら…それは大丈夫とは言わねェ」
「だから大丈夫だって言ってるじゃないですか！！！」


捲し立てる様な私の大声に副長は肩を揺らした。流石に吃驚したのだろう、何より私が一番驚いていた。まさか副長にこんな言い方をしてしまうなんて…でも違う。私は無理とかじゃなくて大丈夫なんだ。


「大丈夫です、本当に。心配しないで下さい」
「…。」


副長の目を見る事が出来ないけれど訝しげな視線を投げている事は分かった。

一緒になろう→←知っている

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す