結婚 47 ページ47
「A…、いい？俺は死んだ人間なんだよ？
もう、生きかえれないの。」
そんなの
そんなの、知ってる。
現実じゃ慧くんはいない。
「婚約者がいるでしょ？ちゃんとその子と向き合わなきゃ！」
そう励ます慧くん、でもね、私それで悩んでるんだよ？
「え、そーなの？」
あ、心の声聞こえてるんだった。
「大貴とはうまくやっていけないかもしれない。
だってもう今の時点で最低じゃん、私。
大貴以外の人が好きなんだよ？
そんなの大貴に失礼すぎて私に隣立つ権利ない。」
「考えすぎじゃないの？」
私は顔を横にふった。
「違う！大貴は私なんか望んでないよ！こんな私なんか！！」
「A！！落ち着いて、」
「ごめっ、」
大きな手が背中を優しくなでる。
「A、それはAが思ってるだけで、婚約者はそうじゃないかもしれない。
自分だけで判断しちゃダメ！！
それと、自分なんかなんて言わない！！
堂々としてればいいんだよ！
俺の初恋だぜ？いい女に決まってんじゃん！」
は、初恋？慧くんの初恋？！
「へ？！ほんとに？」
「うん、好きだった。Aを守るために俺病気と戦った。Aのおかげだよ、諦めなかったのは。」
涙が止まらなかった
夢の世界なのに？
でも、涙の感触があるんだよ？
どういうことだろーね、
「好きだけど、俺は死んだ人間。もう、Aを守ることはできない。」
「Aは賢い子だから分かるよね？
これが、最後の最後だよ？
俺のことは忘れて、
そして婚約者に愛してもらって？」
慧くんの体がどんどん透明になっていく
もう、行っちゃうの？
やだ！
やだ！！
やだ！！！
「A！約束…な？」
そうやって小指をだしてきた。
「……。。」
「A！！
…約束守れるよな？」
慧くんは涙声だった。
「これで、会えるのは最後なんだからそんな顔しないで？笑ってよ！
ちゃんと目に焼き付けておくから」
ね？といって笑顔を見せてきた。
「うん。慧くん大好きだったよ！」
笑おうと努力したけど、やっぱり涙はでてしまった。
「ごめん、やっぱり無理だよ」
「…A、ありがと、大好き…だよ？」
慧くんは私の前から消えていった。
光が消えて、真っ暗になった。
慧くん、大好き。ありがとう。頑張るね。
素敵な恋を教えてくれてありがとう。
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作者名：じゅんらい | 作成日時：2017年10月12日 0時
