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「……今、何考えてやがる」
低く、そう言う声は確実に怒ってる。
思わず見透かされたようなその発言に、ぎゅっとシーツを握りしめた。
『私は慰めてもらいたくて話したんじゃない…！』
感じる圧に、思った以上に声が出た。
振り切るように言ったつもりが、
それはすごく弱くて……情けない声だった。
『…ただ本当の私を知ってもらいたかっただけ。
みんなを巻き込んで
怖い思いも辛い思いもさせて…
巻き込んで…ごめんね…って……
ちゃんと、私の事話さなきゃって＿＿＿＿＿』
「そうじゃねえだろ」
『！』
「約束したんだろ……てめェの親父が託した相手はてめェだろが！！」
『……でもッ！！』
「でももクソもねえ！」
言うと、皆の間を抜けて私の眼前まで歩み寄ってくる。
かと思えば、思いきり胸ぐらを掴まれた。
「死んだやつの気持ちを蔑ろにすんな」
『＿＿＿＿＿！』
その言葉に、自然と目を見開いた……
赤い瞳に、自分の顔が映っているのが見える。
＿＿＿＿＿ああ、情けないなぁ。
……そういえば、幼い頃勝己はよくうちの父に懐いていた。
それは本当に小さい頃だったけど。
一番近くにいる"ヒーロー"がきっと父だったから。
最も、いつだって勝己の一番は、オールマイトだったが＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿"A、頼む"＿＿＿＿＿
ハッとして、気づいた。
雷が落ちるあの一瞬手前。
あの時……父が言っていたこと。
口の動きしかわからなかったが、確かにそう言っていた。
『……頼むって、言われた』
「………………」
未だ胸ぐらを掴んでいる勝己の手に、自分の手を重ねてそっと降ろす。
それに勝己は黙って従った。
一連の流れを皆は静かに見守っている。
＿＿＿＿＿沈黙…が流れるかと思ったその時
「唯夜」
と、呼ぶ声がした。
『先生……』
腕を組み、ずっと成り行きを見守っていた相澤先生。
思い出すのは記者会見での言葉。
そういえば、先生はこんな私を信じてくれていた……
あの言葉に、私は応える事ができるのか。
否＿＿＿＿＿＿＿
．
．
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作者名：noon | 作成日時：2020年12月1日 1時
