罪 ページ7
「…え…？」
話終わると、一番最初に聞こえてきたのは
そんなお茶子ちゃんの声だった。
「ちょ……ちょっと待って…ウチわからんのやけど」
ストップ、と目の前に出した手のひら。
その手でワサワサと頭をかいた。
「それ……Aちゃん悪くなくない！？」
訳がわからない、そんな表情でそう言い切った。
「恐らく一心の暴走は、与えられた個性によるもの。
近くにいたAの個性はその力に呼応していた……」
「与えられた個性……なんスか…ソレ」
意外にも、母は冷静だった。
切島君の問いに、私にも聞かせてくれた内容をみんなに説明する。
それを皆は困惑したような表情で聞いている。
無理もないよね。
突然、こんな話。
でも、もう自分の中でどうすればいいのか
どうするべきか
結論は出ている＿＿＿＿＿
そして、母は話が終わると、一度大きく息を吐き出して
「……なーんだ」
にっこりと、優しく笑いかけてくれた。
「A」
そしてその声音のまま＿＿＿＿
「あなたは間違ってない」
『＿＿＿＿＿！！なん…で……』
一言、そう言われた。
たった一言
その一言に
閉ざしていた感情が
静まっていた心が
動いた＿＿＿＿＿
「ねえ、A。お父さんが最後に言ってた事、もう一度教えて？」
『お父さんが……』
"ありがとう"
"救けてくれて"
"嬉しい"
"立派なヒーローになれるぞ"
"大好きだ"
＿＿＿＿＿本当はわかってる。
「ね？それでも、間違いだったと思う？」
お父さんは最期まで、私を愛してくれて
褒めてくれて……喜んでくれてた。
「昔、Aが言ってたよね、お父さんを守ってあげたいって。あの時のお父さん、カッコつけちゃってたけど、満更でもなかったのよ」
『………』
「すっごく、喜んでた。いつか、Aがヒーローになる姿を想像して」
"Aはどんなヒーローになるんだろうな"
嬉しそうに語る父の顔が浮かぶ。
でも＿＿＿＿＿
「だから、A自身が救けようとしてくれた……それがすごく嬉しかったんじゃないかな」
『＿＿＿＿＿めて…』
私はソレに甘えちゃいけない。
なのに…
．
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作者名：noon | 作成日時：2020年12月1日 1時
