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『……ふふっ』
いつだって勝己は優しく言葉をかけるなんて事は無く
どちらかと言うと、力で解決しようとしてくる。
それはずっと昔から変わらなくて。
今だってそう。
勝己らしいななんて、思わず笑いが溢れた。
『もう、なんでいつもそうなの』
何だかんだ、それに順応している自分いる。
それがまた可笑しくて、笑った。
「……ケッ、やっとかよ」
そんな私を見て、口角を上げる勝己。
沢山迷惑をかけた。
ただの幼馴染みである自分を、ここまで気にかけてくれた。
何度も変わるきっかけを作ってくれた。
言葉や行動は乱暴でも、その根本にあるものは優しさと、それを後押しする強さだ。
『強いよね、勝己は』
「あ？」
『やっぱ敵わないなぁ』
その強さに。
でも、諦めないと決めた。
追いついてみせると言ったからには
『でも、負けないよ』
「…ッたく、どっちだよテメェは」
相反する二つの気持ち。
そのどっちも本当で、どっちも本心。
正反対で交わる事は無いけれど、そのどちらも自分自身。
だから、否定しないで受け入れる。
受け入れて、共存していく＿＿＿＿＿
「なら勝ちに来いや、A！」
『＿＿＿＿もちろん！』
どんなに嫌でも、それが私。
"私"は"私"を受け入れたい。
約束を果たす為に。
みんなの笑顔を守る為に。
夢を叶える為に＿＿＿＿＿
「あーーー！！やっと見つけたー！！！」
途端に聞こえた大きな声。
『三奈ちゃん？』
そちらを見ると、息を切らしながら膝に手をつく三奈ちゃんがいた。
「Aちゃん！」
『出久！』
「A！」
『焦凍くんも…』
続々と現れたのは、よく見知った顔。
A組の皆だ。
何故か全員が全員、三奈ちゃんの様に息を切らしている。
『？どうしたの？』
「どうしたのじゃないよ、もー！！」
その光景が不思議で、首を傾げると透ちゃんが声を上げた。
なんとなく、その言い方や仕草からプンプンと効果音が聞こえて来そうだ。
『え、怒ってるの？』
「怒ってない！！」
『…怒って？』
「ない！」
「皆心配したんだよ、Aちゃんがいなくなったって聞いて…」
そう言う出久。
それを聞いて更に首を傾げた。
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作者名：noon | 作成日時：2020年12月1日 1時
