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あなたのために ページ20
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そして病室に残った一人の女性。
カーテンを開けると、室内が朝の日差しに照らされる。
その窓際に座り、穏やかな表情で外を眺めていた。
「皆、信じてくれてるよ」
ふわりと優しい風が、部屋を吹き抜ける。
見上げると、雲ひとつない晴天。
それはまるで、全てを変えたあの日のような。
「だから、皆を信じて。自分を信じて」
絶望のどん底に落とされたような、
きっと人生で一番、悲しくて辛い気持ちになったあの日。
あれから何年の月日が経っただろう。
だけども、あの日と大きく違うのは
今こんなにも、穏やかで暖かい気持ちでいられること。
「進みなさい、A＿＿＿＿＿」
どんなに大変でも
どんなに険しくても
どんなに辛くても
＿＿＿＿＿どんなに悲しくても。
もう一度見れたあの笑顔。
何年も待ち望んだ…その嬉しさは、忘れない。
今度こそ、この先ずっと守り続けてみせる。
ねえ、あなたがいてくれて私たちは最高に幸せだった。
世界でたった一人の、私たちの宝物。
＿＿＿＿＿お母さんはね
いつだってあなたの為にいるわ。
．
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作者名：noon | 作成日時：2020年12月1日 1時
