泡沫の記憶Ⅳ (ページ49)

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ヒュッと喉が鳴り、冷や汗が流れる。

"二人はなるべく戦闘を避けて！！単独では動かない事！！わかった！？"

自分の名前が呼ばれた事よりも、勝己の名前が出たことに、心臓がドクドクとうるさい。

まさか。

どうして。

焦りが一気に湧いてくるが、今のテレパスで分かったこともある。

『出久は無事だ……』

"Aちゃん"
"かっちゃん"

そう呼ぶのは出久以外にいないし、マンダレイと合流できたということは、あの敵から逃れられたのだろう。

その事を整理すると、少し頭が冷静になる。

そしてどうやら、自分の行動は裏目に出てしまったらしい。

めちゃくちゃ単独行動中だ。

でも、もう目の前に炎が見えている。

『(範囲は広いけど、これくらいなら…！)』

そう思って、走りついた場所＿＿＿＿＿

少しだけひらけたその場所に。

「来たな」

青く燃える炎をバックに＿＿＿＿＿敵が立っていた。

『！！…しまっ……！』

「ったく…どこ飛ばしてんだ。ノーコンかよあいつ」

バッチリと会敵してしまい、思わず足を止めると

目の前の敵は悪態をついている。

「いや、来てくれて助かったぜ」

『…………』

「唯夜A、だろ？ご指名だ、俺たちと来い」

『…どういうこと』

「戦う気はねえってことだ、大人しくしてればな」

ピリピリとした空気を肌で感じる。

戦う気はない？冗談でしょ。

『オーラがそう言ってないんですけど！』

バッと両手を地面につき、個性を発動させる。

キイィィィィンと音がして、周りの炎が反射され消滅していく。

やっぱり、この炎は奴の個性だ。

『(もう少し＿＿＿＿＿)』

せめて今ある炎だけでも処理できれば、皆が避難するまでの時間稼ぎにはなるはずだ。

そうすれば、あとは全力で逃げ切る………！

「大人しくしてればな(・・・・・・・・・)！」

『(…ここまで…っ)』

敵が動き出し、最後の炎を消した瞬間に逃げる体制を取る。

だが＿＿＿＿＿

　

バチバチバチバチ＿＿＿＿＿！！

地面に手をつけたまま稲妻を放つ。

青白く光る雷の合間から覗く目に………

『！！』

ぞくりと悪寒が走った。

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