泡沫の記憶Ⅳ (ページ46)

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「何で……！！」

体が地面に叩きつけられ、息が詰まる。

そこに動揺する洸太君の叫び声が響いた。

バッと体制を立て直し敵を睨みつけると、敵は出久を見て「んん？」と首を傾げている。

「おまえは…リスト(・・・)にあったな。で、そっちは……」

くるりと振り返り視線がこちらを捕らえると、今度は「ああ！」と声を上げた。

「その髪と瞳……おまえ(・・・)が唯夜って奴の方だな！」

『え……』

「ビンゴだ！ツイてるぜ！」

まるでガッツポーズでも取るかのように手に握りしめる。

その声には喜びが含まれているような…

その様子を見て、ひやりと内心が凍った。

＿＿＿＿＿まさか。

読みが外れたかもしれない。

……狙いは出久じゃないのか？

『だからなに』

「あぁ、仕事(・・)だ。とっとと終わらせて…

俺に遊ばせろ！！」

「……危ない！！」

ブワッ！！と風が舞う。

　

やっぱり。

目の前の敵の言葉。

そして行動で確信した。

……そう、ターゲットは私だ＿＿＿＿＿

そして。

あの言い方は、私以外にも標的がいる。

出久じゃないとすると………誰？

『(速…！)』

そう思った直後には目の前に拳が迫ってくる。

『……っ！ぅわ！？』

「おまえは、あっち(・・・)だ！」

しかし来ると思っていた衝撃は来ず、ガードしていた腕をがしりと掴まれた。

そして、遠心力を使い思いきり振りかぶられ＿＿＿＿

『ちょ…えっ、うそ…』

「Aちゃん…！」

バチ……

個性を発動しようにも、強く引っ張られてうまく力が入らない。

『出久………っごめん！』

"洸太君を守って"

そう叫んだが、それが出久に聞こえたか聞こえなかったかわからない。

物凄い風圧と、途端に感じる浮遊感＿＿＿＿

視界の隅で、自身の白銀色の髪がちらつく。

その奥に見えるのは泣いている洸太君と、目を見開いて何かを叫んでいる出久。

嫌な笑みを浮かべた敵。

風を割く音と、浅く息苦しい呼吸。

満天の星空の下＿＿＿＿＿

青く燃えさかる森に、私は投げ出された。

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