泡沫の記憶Ⅳ (ページ42)

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そして何よりも何よりも……

この後に待ち構えているのは……そう、肝試し。

気分がこの上なく落ちている。

これは回復しないぞ。

「Aちゃん！指！！」

『………はっ！』

突然のお茶子ちゃんの呼び掛けに心臓が跳ねる。

そして、今まさに切りかかろうとしていた包丁を咄嗟に止めた。

「あぶなー…Aちゃんギリギリやったね」

『……ありがとお茶子ちゃん……』

危うく親指がなくなるとこだった。

現在進行形で、私たちは今日の夕飯の肉じゃがを作っている。

野菜を切る係に任命されたわけだが、代わりに指を切って流血事件をおこしかけていた。

お茶子ちゃんに感謝。

「爆豪くん、包丁使うのウマ！意外やわ……！！」

「意外って何だコラ、包丁に上手い下手なんざねえだろ！！」

「出た！久々に才能マン」

そんな私の隣では、勝己が見事に人参を刻んでいる。

それに感心するお茶子ちゃんと上鳴君。

………なんだか負けた気分だ、女子として。

くそぅ…と内心呟き、挽回の為に包丁を握りなおした。

「唯夜！指！！」

『………………』

「こっちも意外やわ……料理苦手なんやね、Aちゃん」

完敗だった。

「君たち手が止まってるぞ！！最高の肉じゃがを作るんだ！！」

ああ、飯田君は今日も元気だなあ……

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「……さて！」

「腹もふくれた！皿も洗った！お次は…」

「肝を試す時間だー！！」

元気いっぱい三奈ちゃんがそう叫ぶ。

時は流れて、もう夜だ。

ついにこの時が＿＿＿＿

「その前に大変心苦しいが補習連中は…これから俺と補習地獄だ」

「ウソだろ！？」

「すまんな、日中の訓練が思ったより疎かになってたので、こっちを削る」

「うわああ堪忍してくれえ！試させてくれえ！！」

キラキラとした笑顔だった三奈ちゃんが一転、悲痛な叫びを残して他の4人と共に相澤先生に引きずられて行った。

『そうだったそうだった、補習。補習があるよね』

「お前はあっちだろ」

さり気なくそれに混ざって付いて行こうとしたら、先生にあっさりと突き返される。

ポイっと元いた場所に戻されると、近くにいた焦凍君に「嫌なのか？肝試し」と聞かれたので

泣く泣く(泣いてないが)それに頷いた。

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