泡沫の記憶Ⅳ (ページ38)

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バチバチ＿＿＿＿ッ

掌を合わせて個性を発動させると、目の前には昨日もお世話になった土魔獣。

『まじか、先生』

ギュッと両手の拳を握りしめて、体全体に個性を巡らせると準備は完了。

＿＿＿＿発動型の個性は許容上限の底上げ。

私に課せられたのは二つの個性の常時発動時間を伸ばすこと。

身体強化したうえで攻撃を避けつつ、反射のみで撃破するエンドレス土魔獣だ。

更に、纏ったプラズマの個性を体の状態に合わせて反射させ続ける事によってキャパの克服を目指す。

ほんの微々たる加減とコントロールが求められる為、体力はさることながら精神的にもキツい。

昨日は皆がいたからなんとかなったものの……

まあ、その辺の人数の違いはあるから、昨日ほどではないだろう。

ちらっと皆がいるであろう辺りに目をやると、なんか様々な叫び声が聞こえてくる。

やるっきゃない。

強くなる為に。

『よしっ！』

そう呟いて、地面を蹴った＿＿＿＿＿＿

＿＿＿＿

＿＿＿

＿＿

PM4:00

『……あっつい……』

そうして本日の訓練は終了したものの、なんせ初日。

なかなか上手くコントロールできずに、結果体が燃えるように熱い。

そんな私を見かねた相澤先生が焦凍君に声をかけてくれていた。

「A」

『…ん？』

名前を呼ばれて、ふらりと振り返ると同時にぴたっと何かが額に当たる。

『焦凍君……あぁ、生き返るー…』

「熱いな」

額にあったのは、焦凍君の右手だった。

薄らと氷が張っていて気持ちがいい。

シュウゥゥ……と水蒸気が出る程までには、熱くなっていたらしい。

『ん……』

ひんやりと冷たいその温度を感じながら、心地良くて目を瞑る。

しばらくその冷たさを感じていたら、ゆっくりと体の熱も引いてきた。

最後に一度大きく深呼吸をして、目を開く。

『……』

「……」

少しだけ目線を上げる。

ずっと見られていたのか、ばちっと目が合った。

ふと昨日の光景が蘇ってきて、なんだか気まずい。

『ありがとう、もう大丈夫だよ』

「………」

『焦凍君？』

「………ああ、またなんかあったら言えよ」

しばらくそのまま黙っていた焦凍君だったが、お礼を言うとそれだけ言って手を離した。

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