泡沫の記憶Ⅳ (ページ32)

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「あ、えと僕雄英高校ヒーロー科の緑谷」

「よろしくね」と言った瞬間に、とんでもない一撃をもらった。

「きゅう…」

「緑谷くん！おのれ何故緑谷くんの陰嚢を！！」

小動物のように鳴く出久がしゃがみ込む。

飯田君が庇うが、洸太君は気にせず知らないフリ。

「ヒーローになりたいなんて連中とつるむ気はねえよ」

そう言って、スタスタと去ってしまった。

「つるむ！？いくつだ君！！」

『出久？おーい、平気？』

「マセガキ」

「おまえに似てねえか？」

トントン、と出久の肩を叩くが復活にはもう少しかかりそうだ。

隣では洸太君を鼻で笑う勝己に、焦凍君がそんな事を言っている。

「あ？似てねぇよ、つーかてめェ喋ってんじゃねえぞ舐めプ野郎」

「悪い」

『勝己理不尽』

「うっせ」

「茶番はいい、バスから荷物降ろせ」

ピシャリと相澤先生にそう言わた。

…………茶番…だと。

そして、荷物を部屋に運び食堂に向かう。

そんなほんのちょっとの行動でさえ体が重い。

本格的なスタートは明日からだと言うが、中々ハードじゃないかと思った。

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「いただきます！！」

食堂にて。

やっとのご飯にありつけた私達は皆でテーブルを囲んでいた。

皆がご飯を食べながらワイワイと話している。

「へえ、女子部屋は普通の広さなんだな、じゃあ」

「男子の大部屋見たい！ねえねえ見に行ってもいい？後で！」

『ねむ………』

「おー来い来い」

「ねー、Aも行こうよ！……って！寝てる！？」

三奈ちゃんのそんな声がなんとなく聞こえたが、意識が半分ほど飛んでいる。

意識はあるけど寝てますよ的な感じでフワフワしているところに瀬呂君が一言。

「唯夜、バスでも寝てたよなー寝過ぎじゃね？」

「ちゃんと飯食った方がいいぞ、A」

『……寝る子は育つって言うじゃん』

「うお、喋った」

「の割にちっせえよなー」

向かいに座っている焦凍君はお母さんの様なことを言ってるし

喋ったことに対して切島君が驚いている。

……そりゃ喋りますよ人間だもの。

そして、瀬呂君にトドメの一言を刺されたところでハッと目を覚ました。

『確かに』

「起きたのか」

焦凍君にそう言われ辺りを見回すと、切島君と上鳴君がもの凄い勢いで米を食べていた。

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