泡沫の記憶Ⅳ (ページ31)

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『ほんとに魔獣…！』

「静まりなさい獣よ。下がるのです」

「口田！！」

動物を従える個性を持つ口田君が一歩前に出るが、全く効いていない。

＿＿＿＿＿＿となれば、あれは"個性"だ。

バチッ＿＿＿＿！！

そうとわかった瞬間に、気がつけば飛び出していた。

＿＿＿＿＿＿＿＿

＿＿＿＿

＿

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「やーっと来たにゃん」

日は傾き、空はもう夕焼けに照らされている。

遠くでカラスの鳴き声が聞こえる、そんな山の中にある宿泊施設に＿＿＿＿

私達はやっとの思いで辿り着いた。

『………あつ』

全員、満身創痍でグッタリしている。

施設の前で、相澤先生を筆頭に出迎えてくれた。

「とりあえず、お昼は抜くまでもなかったねえ」

「何が3時間ですか…」

「腹へった…死ぬ」

「悪いね、私達ならって意味アレ」

……そりゃ無理だ。

その事実に更にグッタリと項垂れるが、正直もっとかかると思っていたらしい。

「いいよ君ら……特に」

そう言って、ピッと指をさす。

「そこ4人……後そっちの女の子も。躊躇の無さは経験値によるものかしらん？」

指をさされたのは出久、飯田君に勝己、そして焦凍君。

あとは私だ。

「三年後が楽しみ！ツバつけとこーーー！！！」

『(うわあ……)』

四人にツバをつけるピクシーボブを横目で眺める。

すぐ側ではその光景に相澤先生が「あんなでしたっけ？」と疑問符を浮かべ

「彼女焦ってるの、適齢期的なアレで」とフォローが入っていた。

「適齢期といえば……」

「と言えばって！！」

「ずっと気になってたんですが、その子はどなたかのお子さんですか？」

またもやボフッと猫パンチ的なものをくらいながら出久がそう聞く。

すると、マンダレイが自分の従甥だと答えた。

「洸太！ホラ挨拶しな、一週間一緒に過ごすんだから…」

そう言ってもピクリともせず、代わりに出久が近くによって手を差し出す。

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