泡沫の記憶Ⅳ (ページ30)

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「キャリアは今年で12年にもなる……」

「心は18！！」

「へぶ」

そこまで言った出久が、ボフッと顔ごと押さえつけられた。

知りすぎるとは時として罪だな…なんて下らないことが脳裏をかすめる。

しかし、あれがいわゆる猫パンチ？

「心は？」「じゅ18！」と躾を受けている横でもう一人のプロヒーローの方が話し始めた。

なんでもこの辺一帯はこの人達の所有地であるらしく、今回私達の宿泊施設は向こうに見える山の麓らしい。

ここからだとめちゃくちゃ遠い。

『え…と？』

ピコン、と嫌な予感を察知する。

「え……？じゃあ何でこんな半端なとこに………」

「いやいや…」

「バス…戻ろうか……な？早く……」

ザワつきはじめる皆に更に追い討ちがかけられた。

「今はAM9:30。早ければぁ……12時前後かしらん」

「ダメだ……おい…」

「戻ろう！」

「バスに戻れ！早く！！」

バッと真っ青になってバスに向かって走り出す皆。

＿＿＿なんか察したよね、わかる。

それでも足が動かないのは、多分逃げられないと悟った私の心が身を制している。

「12時半までに辿り着けなかったキティはお昼抜きね」

「わるいな諸君」

その二人の言葉が、決め手となった＿＿＿＿

「合宿はもう」

『！』

ボコ…と足元の地面が大きく揺れる。

「始まってる」

……そしてそれに飲み込まれるように、私達は崖の下まで落とされた。

「私有地につき個性の使用は自由だよ！今から3時間！自分の足で施設までおいでませ！

＿＿＿＿この、魔獣の森を抜けて！！」

『(わあ、やっぱりー…)』

土まみれになりながら、なんとか着地する。

付着した土をパタパタと落としながらあたりを見回すと、そこには大きな木が生い茂った森が広がっていた。

「魔獣の森……！？」

「なんだそのドラクエめいた名称は………」

「雄英こういうの多すぎだろ…」

「文句言ってもしゃあねえよ、行くっきゃねえ」

そんな会話をしていると、途端に峰田君が何処かに向かって走って行ってしまう。

その時＿＿＿＿

『峰田君！前！！』

「マジュウだーーーーー！！！！？」

峰田君の目の前。

私たちの前に、"魔獣"が姿を現した。

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