泡沫の記憶Ⅳ (ページ17)

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もう一つの約束ページ17

「あんた本当に加減を知らないね！」

その後、オールマイトと共にリカバリーガールの元へ行くと途端始まったお説教。

チクチクとオールマイトに小言を言っている側で、私達はベッドにぐったりとしていた。

体中熱くて、いたるところに氷やら濡れタオルやらを当ててくれている。

「しかしまあ……あんたも一段と顔つきが変わったね」

いきなりリカバリーガールに話を振られた。

その後ろには大量のモニター。

きっと全ペアの様子を見ていたのだろう。

その言葉が嬉しくて、つい大きく頷く。

「……思い出してくれたんだね、本当に」

隣のベッドにいる出久が、改めてそう言った。

『うん。……出久、ありがと』

「へっ！？いやいや、僕は何も………むしろ、してあげられなかった」

『ううん…出久の言葉に、いつも励まされたんだ私』

「そんなこと…」

『大事なことだよ？少なくとも、私にとっては』

「……怒ってないの？」

『…？』

突然の質問に首を傾げる。

すると出久があわあわしだした。

「いや、だって僕もかっちゃんも……Aちゃんの事知ってた。知ってて＿＿＿＿知らないフリを…してたんだ……」

『あ、そんなこと』

ポン、と我ながら古いリアクションをしながら答えると、大きな目を更に丸くする出久。

『怒ってないよ、全然。………怒らないよ』

「僕はずっと……そればっかり考えてたんだ」

出久なら。

そうなんだろうな、と心の中で思う。

たくさん考えて、何が最善なのか、ずっと思索していたのかもしれない。

『だからだよ』

「えっ？」

『言えない理由があったんでしょ？出久もそれできっと辛かった…いっぱい悩んでくれてたんだよね。

それでも背中押してくれて、嬉しかったんだ』

「Aちゃん……」

私が記憶を無くした事で、苦しんでいるのは私だけじゃない。

その事に最近気付けた。

だから、知っていて黙っているしか無かった出久の気持ちもわかる気がする。

それでも手を差し伸べてくれる優しさに、感謝しかないんだ。

『だから、ありがとう』

「Aぢゃっ…」

『泣かないの』

「…まだっ……泣いてない…！」

そう言って、ゴシゴシと目元を拭いていた。

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