泡沫の記憶Ⅳ (ページ15)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:53,435 hit

7 ページ15

「ブッ飛ばす」

「え？」

その爆発に合わせて自分の周りだけ反射させると、オールマイトの腕から解放された。

そしてすぐさま、同じく解放された出久の腕を勝己が掴む。

その時、爆発をガードしていたオールマイトの体が一瞬浮いた。

　

「スッキリしねえが、今の実力差じゃまだこんな勝ち方しかねえ」

「ちょ、待…まさか！」

『……まじか』

「っ………死ね！！！」

そして勝己が出久を＿＿＿＿

投げた。

……いや死ねって。

だが今の一瞬を見逃さなかった。

多分、勝己は腕を痛めてる。

だからどうか、届け、ゴールに＿＿＿＿

＿＿＿＿New Hampshire…

SMASH！

「いやいやあまいぞヒーロー共！！」

『！』

なんと。

空中で体勢を変えたオールマイトが出久に体当たりした。

バチバチバチ…！！

その着地地点に放った稲妻が、オールマイトに命中する。

『……出久！』

が、まるで効いていない。

「バカだったぜ…リスクも取らずあんたに勝てるはずなかったわ」

「行けデク！」と正面に回り込んだ勝己が、またあの火力の攻撃を放った。

そして立て続けに、爆発を撃つ勝己。

あんな威力を連発するなんて、きっと腕が保たない。

モロに攻撃を受けた出久だって立ち上がっている。

"勝つ"って。

みんなで決めたから＿＿＿＿

.

＿＿＿＿"人に個性を向けるのが怖いかい"

先程言われたあの言葉が脳裏を過ぎる。

怖いか………そう聞かれると、怖い。

怖いんだ、まだ。

自分の個性が。

多分、無意識に威力もセーブしている。

しかもそれをオールマイトに向けるなんて。

私の命の恩人である、このヒーローに。

訓練といえど、テストといえど、助けてくれた人に向ける日がくるなんて＿＿＿＿

でも。

『……そんな事』

目に映るのは、本気で挑んでいく二人の姿。

『言ってらんない！』

バチッ…！と光が瞬く。

『オールマイト……！！』

「！？」

バチバチバチ＿＿＿＿ッ！！！

震える心に蓋をして歯を食いしばる。

そうすると、無意識に口角が上がった。

青白い稲妻が地面を這い

そして、轟音を立てて落ちた…

.