泡沫の記憶Ⅳ (ページ2)

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少年ページ2

ザザ＿＿＿＿と聞こえる波の音。

澄んだ空に浮かぶ雲と

明るい太陽が真上にいる。

時折、どこかで鳥の鳴き声が小さく響く。

＿＿＿＿ああ、これは夢だ。

直感で、そう感じた。

だって、ほら。

"また、まけちゃった"

そう言って、へらりと笑う少女。

いつも夢に出てくる、白銀の髪と青紫色の瞳をしたその少女。

砂浜に寝転がって、大の字になっている。

その目は太陽の光を反射させて、いつもより色が薄く見えた。

"ッたりめーだろ。俺はそこらへんのザコとはちげぇんだよ"

ドカッ、と少女の隣に腰を下ろすのは、同い年くらいの少年。

"ねえ、わたし、もっとつよくなりたい"

"は？いんだよ、てめえは"

"なんで？"

"俺より弱えままでいろ"

それにますます首を傾げる。

そしてぶっきらぼうに言われた。

"だから"

"お前は俺が守ってやんよ、A！"

"だから、弱くていい"

そう言う少年の顔はモヤがかかっていて見えない。

"やだ"

"はっ！？"

"やだよーだ。なってやるんだ！すぐ追い越すよ？"

"てめえ……"

怒り出すかと思われた少年。

だが、意外にも口角は上がっていて、ハッ、と鼻で笑った。

"やってみろや"

"うん！負けないよ＿＿＿＿"

ふわり、と風が吹いて二人の髪を揺らす。

ザプ＿＿ン……と、少しだけ大きな波の音がして

その後に続いた少女の言葉を掻き消した。

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