休校日 ページ6
怒涛の体育祭が終わり、休校日となった翌日。
1年に一回だけある、定期検診の為、病院に来ていた。
例の記憶を無くすきっかけとなった事件以来、定期的に続いている。
検査というよりは、カウンセリングのようなものだ。
「Aちゃん、昨日の雄英体育祭見たよ〜、いやぁ、なんだか娘の成長を感じるねえ」
『そんな歳でも無いですよね？先生』
もう長い付き合いになる先生は、まだ若くて綺麗な人だ。
担当になってから何年か経つが、全く変わらない、いわゆる美魔女。
歳の離れたお姉さんのような存在だと思っている。
「さて、最近の調子はどうだろ？」
『うーん…そうですねぇ……』
その返答に、おや？と首を傾げる先生。
いつもだったら、特に変わりなしの一点張りだったからだ。
『最近、夢に見るんです。小さい頃の事とか』
「夢ね。ふんふん、あとは？」
『あとは…なんだか急に、記憶がフラッシュバックしてきたりもありました』
「急に？それはどんなタイミングで？」
その問いに、うーんと頭を捻る。
どんな時だっけ。
確かあれは＿＿＿
『人と話してる時、ですかね。
…その人の言葉とダブって思い出すこともあります。でも、それが過去、誰に言われたかは分からないんですけど』
「話してる時、か……毎回同じ人？」
『いえ…あ、って言ってもその現象があったのは2人？ですね』
「2人。誰だろう？私も知ってる人？」
『クラスメイトです。雄英の＿＿＿』
そこまで言うと、先生は何かを考えるように顎に手を添える。
「クラスメイトだったら、顔と名前わかるかも。昨日の体育祭見てたし。誰だろう？」
『そうですか？えと…緑谷出久君と……あと、爆豪勝己君』
「ああ、わかった！目立ってたよね〜2人」
ふふ、と小さく先生が笑う。
確かに、ただでさえ注目されている雄英体育祭の中でも、際立っていた。
相当知名度上がってるんだろな、と他人事のように考えていると
「Aちゃんも相当だったよ」
と、言われてしまった。
思わず視線を逸らす。
「まあ、とにかく…もしかしたら、新しい環境で刺激されてるのかも。頭痛いとか、何か体に異常を感じたら、無理せず休むこと。ゆっくり、できたら1人になってね」
その方が負担が少ないから、とのこと。
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作者名：noon | 作成日時：2020年9月26日 13時
