泡沫の記憶Ⅲ (ページ50)

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それは一般人、ヒーロー、警察………Aちゃんの担当医にまで及ぶという。

その担当医の先生には、定期的にAちゃんを観察してもらっていた。

記憶を取り戻すような素振りがあれば、なるべくその要因から遠ざけてもらう様に＿＿＿

そう徹底して環境を整え

そして知らない土地へと引っ越して、リスタートさせた。

一人で支えると決めた。

それが、どんなに大変だったか。

それでも、この親子の間にあった思いのすれ違い。

＿＿＿＿辛くないはずが無い。

思わず、拳にギュッと力が入った。

「Aには……真実を伝えようと思います。そして、私がお願いしたいのは、記憶が蘇る為のお手伝い。
そして、真実を知ったあの子を、一緒に支えてあげて欲しい」

「＿＿＿＿！」

その言葉に、胸が熱くなる。

僕も……僕達も、ずっと、それを望んでいた。

「僕に出来ることは…何だって！」

「するに決まってンだろ」

被った。

ギッと睨まれて、ついでに舌打ちもされる。

オールマイトは黙って親指を立てた。

「話は大方理解しました。Aさんの為に、こちらも全力でサポートしましょう」

相澤先生がそう伝えると、光さんは安心した様に胸を撫で下ろした。

「ただ、もうちょっとだけ、心の準備をする時間を下さい……大丈夫、あの子を信じています。…でも、もうちょっとだけ」

「そのタイミングはお任せします。どうか無理なさらない様に」

「…はい、ありがとうございます」

そう言って、僕達に向かって深々と頭を下げた。

「こちらの勝手だとは重々承知しています。
振り回してごめんなさい。…でもどうか、Aの事よろしくお願いします」

数年前とは違う選択。

この選択に、どうか明るい未来を＿＿＿＿

「光さん、ありがとう。＿＿＿こちらこそ！」

一人では荷が重すぎた。

それでも、皆がいればきっと。

願わくば、あの大好きな笑顔でもう一度笑ってくれますように。

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