泡沫の記憶Ⅲ (ページ42)

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それから拳藤さんは、演習試験について教えてくれた。

聞くと、対ロボットの実戦演習らしい。

「バカなのかい拳藤。せっかくの情報アドバンテージを！ココこそ、憎きA組を出し抜くチャンスだったんだ……」

「憎くはないっつーの」

再び手刀を入れられた物間君は、今度こそ気を失い引きずられていく。さすが姉御。

教室に戻って、演習試験の事を皆に伝えると

やったあ、とあからさまに三奈ちゃんと上鳴君が喜んだ。

「お前らは対人だと個性の調整大変そうだからな…」

「ああ！ロボならぶっぱで楽勝だ！」

「あとは勉強教えてもらって」

「これで林間合宿バッチリだ！」

そう言ってガッツポーズを決めている。

ロボだと聞いて安心したのは私も同じだ。
反射は使えないけど、やっぱり人間相手より良い。

「人でもロボでもぶっとばすのは同じだろ、何がラクチンだアホが」

そんな二人に爆豪君が水を差す。

「アホとは何だ！アホとは！！」

「うるせえな！調整なんか勝手にできるもんだろ！アホだろ！

＿＿＿＿なあ、デク！」

「！」

急に話を振られた緑谷君が、ビク、と反応する。

「個性の使い方…ちょっとわかってきたか知らねえけどよ……てめェはつくづく俺の神経を逆撫するな」

あれか、レースの時のあの動き……。

「体育祭みてえなハンパな結果はいらねえ……！
次の期末なら個人成績で、否が応にも優劣がつく…

完膚無きまでに差ァつけて、てめェぶち殺してやる！」

緑谷君を指差し、そして

「轟ィ……！！てめェもなァ！！」

と言って、ガン！と扉を開けて出ていった。

…………私は？

入ってないのか…

「何落ち込んでんだ、A」

『随分ケロッとしてるね、轟君』

少しだけシュンとしていたら、そう声をかけられた。

もっと、なんかこう、リアクションしてあげて。

「……久々にガチなバクゴーだ」

「焦燥……？あるいは憎悪…」

切島君と常闇君がそうもらしていると、

再びガン！と扉が開いて、爆豪君が帰ってきた。

『放課後、呼ばれてたね。そういえば』

「う、うん……」

横目で緑谷君を見ると、困惑した顔で冷や汗を流している。

『……頑張って』

あんだけキレている爆豪君と一緒なんて、やなタイミングだな、と思いながら緑谷君にエールを送った。

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