泡沫の記憶Ⅲ (ページ13)

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『この意味を知った時から、決めてました。

アイオライト』

「素敵！宝石の名前ね！瞳の色と同じ！！」

意味は"人生においての道しるべ"

前に、百ちゃんと初めて話した時、瞳の色をアイオライトと例えられた。

その時は忘れていたが、そういえば前に母も同じ表現をしていた事を思い出したのだ。

父と同じ青紫色の瞳。

光の名を持ち、照らしてくれる父に対して、私は人々を幸せに導けるような存在になりたい。

『困ってる人も迷ってる人も、大丈夫だよって手を差し伸べられるヒーロー。
皆が幸せになれる為のヒーローになりたいです」

「良いじゃん良いじゃん！正に名は体を表す！ね！」

ミッドナイト先生からお褒めの言葉を頂き、ほっと胸を撫で下ろす。

自分の席へ戻ろうしたら、百ちゃんが小さな声で

「Aさんらしくてステキですわ」と言ってくれた。

「思ってたよりずっとスムーズ！残ってるのは再考の爆豪くんと……飯田くん、そして緑谷くんね」

チラ、と飯田君を見ると、何かを書きかけてペンが止まっていた。

そして再度何かを書いたと思ったら、天哉、と自分の名前を掲げる。

前に立つ飯田くんは、どこか暗い表情だった。

そしてあとは

「えぇ緑谷いいのかそれェ！？」

「うん。今まであんまり好きじゃ無かった。けど、ある人に意味を変えられて、僕には結構な衝撃で……

嬉しかったんだ」

緑谷くんが決めたヒーロー名は、デク。

「これが僕のヒーロー名です」

こうして、1名を除く全員のヒーロー名が決まった。

そして、職場体験は1週間後。

指名のあったものは、個別に渡されたリストの中から選び、無かったものは、予め雄英からオファーした受け入れ可能事務所から選ぶそうだ。

「今週末までに提出しろよ」

「あと二日しかねーの！！？」

随分と急ぎだ。

そんな事を思いながら、手元に配られたリストに目を通す。

『…あ』

そこには、知っている名前があった。