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『結………！』
大体の仕事を終わらせ、最後に床掃除をしようと思ってやってきた場所に、結がいた。
いつもだったら既に上がってもらってる時間だが、「今日くらい手伝うよ」という言葉に甘える事にした。
狭い室内、お互いに背中を合わせるように作業していれば
『あのね』
と話しはじめたのはAだった。
『……私、もう一回サッカーしたい』
それは、ずっと仕舞い込んでいた本当の気持ち。
例え医者からもう諦めろと言われても
代わりに自分の夢を託そうと決意しても
その想いだけは、完全に消す事なんて出来なかった。
「……うん」
それを、まるで結は分かっていたかのように。
一度だけ、頷く。
『今までは……現実を受け入れる事に必死だった。
嫌でも受け入れなきゃいけない……受け入れて、他の何かにすり替える事で、自分を保ってた』
『だから、いつの間にか忘れてた』
『本当は、誰よりもサッカーしたいのは私なんだ』
詳しい知識や情報なんて無い。
どうすればいいのかも何もわからない。
でも、もしも奇跡というのがあるならば
起こすための努力は続けてたって良いんじゃないか。
それを頑張れずに他人を頼るなんて、図々しい。
『やっぱりね、私は諦められなかった……』
でもそれは、元々A自身の中でずっと大切に大切に守られていたもの_________
『世界一になりたいって��夢��を』
幼い頃からずっと焦がれていた。
そうなる為に努力して
必死で追いかけていた。
誰もが注目する舞台で、一番になる事を_________
例えもう叶わない夢だとしても、追いかけることをやめたくない。
自分自身の力で、自分を信じて進んでみたい。
きっと限界なんて無い。
もっと視野を広げて、出来ること全てをやり切って。
その先に何があるかはわからないが、この選択をしない限りその未来はあり得ない。
『もっと………足掻いてみたいんだ』
じゃないときっと
自分の中に生まれたこの熱は、冷めてはくれいないから。
．
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作者名：noon | 作成日時：2023年4月21日 0時
