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_________Aの朝は早い。
それは皆が起きる前に、全ての準備を終わらせるため。
洗濯の終わったタオルや全員分のドリンクなど、用意しなきゃいけないものがたくさんある。
それをAはいつも1人でやっていた。
今日もまた、そのために早起きして洗面所へ向かう。
眠い目を擦りながら顔を洗い、髪を整えていれば誰がやってくる気配がした。
ちなみに眼鏡は壊れてしまっていたのでもうしてない。
「あなたは……」
『おはようございます、二子くん』
そこにやってきたのは二子だった。
その表情は前髪に隠れて見えないが、どうやら驚いているようだ。
「意外と朝早いんですね」
意外とってなんだ、と思いながらも『仕事があるんで』と返せば更に意外そうな顔をした。
『(……何故？？)』
「マネージャーの仕事をしないって、専らの噂ですよ」
『………はあ』
「いつも花咲さんが1人でやってるとか……」
『………ほう？』
「……………否定しないって事は、本当なんですか？」
『いや………』
二子の言葉には少しトゲを感じる。
そりゃそんな噂があるなら当然だが。
勿論そんなのは全く事実と異なるが、多少なりとも信じているのであろう二子に弁解するのもめんどくさい。
多分、滅多に姿を見せないAに選手たちのストレスがぶつけられてるのだろう。
それか結の事を気にかけてる誰かが立てた仮説に悪い尾ひれがついたとか、そんなとこだろう。
『別に、どう思われようが関係ないんで』
やる事はきちんとやっている。
それを誰に否定されようが関係ない。
憂さ晴らしの対象にされたって、ストレスの捌け口にされたって
それで選手自身がパフォーマンスを保てるのなら、それでいい。
「……そういうの、いつか自分に返ってきますよ」
『打ち返すのみ』
そう言えば、驚いたような、呆れたような、そんな顔を二子がしていた。
「随分とひどい人だ」
そう言って去っていった二子には、Aはどんな風に映っていたのか。
_________そんなのもAには関係ない。
誤解されようが軽蔑されようが、どうだっていい。
『……てか何しに来たんだ？』
誰もいなくなったその場所で、小さく欠伸を噛み殺した。
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作者名：noon | 作成日時：2023年4月21日 0時
