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『(………ナニコレどういう状況…？)』
凪に顔を固定され、玲王には頭をガシガシ撫でられている。
それを他人事のように見ながら、すぐにAは考えるのをやめた。
「あれ、動かなくなっちゃった……マジで人形みたい」
『もうめんどくさくて』
「わかるー」
『お前が言うな』
ふあ…と欠伸をする凪は眠そうだ。
顔にあった手が離され、そのまま両腕を肩に乗せられる。
「………A………意外とちっさい………」
「あ、おい、凪！」
眠気に負けた凪の目が閉じる。
それと同時にAにもたれるように倒れてきたため
玲王の焦ったような声を聞きながら慌てて両手に持っていた道具を離して、その体を支える。
間一髪間に合った…………と思ったが、さすがに体格差がありすぎる。
さらにAの足では支えきれずに、その重さに潰れた。
『…………今日は厄日か』
打ち付けた背中が痛い。
でも選手がケガする事の方が大変だ。
ひと通り凪の背中やらをぺたぺたと触り、特に異常は無さそうだとわかれば
驚いて固まっていた玲王にガンを飛ばす。
『おい保護者』
「……あ、わり、大丈夫か？」
ちなみに斬鉄は華麗に避けている。
まあ、巻き込まなくて良かった。
完全に寝ている凪をおぶって玲王が立ち上がれば
床に座り込んだままのAに器用に手を伸ばす。
Aはそれを取る事はせず自分で立ち上がると
『怪我しなくて良かったね』
と言って床に散らかった道具を拾い集めた。
「俺と大分態度違くねえ？」
『だって��宝物��なんでしょ』
それは、さも当たり前のように。
さすがに今のは凪が悪い。
危うくAの方が怪我してたかも知れない。
でもそんな事気にも留めないような態度で。
玲王にとっての凪がどういった存在なのかを、よく理解している。
「ほんと、なんなんだよお前」
それが何故だかおかしくて、笑いが込み上げる。
人付き合いが苦手だとしても、思い返せばAは最初から全員の名前を覚えていた。
多分名前だけじゃなく、個々のデータもきっと全部頭に入っているのだろう。
そんな見方をしていた気がする。
誰にも興味なさそうなフリして、誰よりも皆を知ってる。
_________朔夜Aはそんな奴だった。
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作者名：noon | 作成日時：2023年4月21日 0時
