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ちなみに
あの後ちゃんと鰐間兄弟は謝罪をしてくれた。
A自身は『別に』とかなり塩対応ではあったが、もう気にして無いらしい。
責任は取ると言われたが何の責任だか分からないので丁重にお断りした。
だがその時の光景を見た者は、全員が口を揃えて言う。
��Aの目がまるでゴミを見る目だった��と。
．
「あ〜もう〜良かったあ〜〜！」
『心配かけてごめんね、結』
会った瞬間抱きついてきた結の背中をよしよしと撫でる。
身長は結の方が幾分高いのだが、こういうところは末っ子気質だ。
余程心配してくれたらしく、ほんのりとその目が赤い。
なんなら鼻もちょっと赤い。
『え、泣いてる……！？』
「だってぇ〜………」
『わーごめんごめん、もうしないよ気を付ける』
「ほんと？」
『ほんと』
「絶対だよ？」
『絶対』
そうやって頷けば、もう一度ぎゅっと抱き締められる。
「約束だよ」と肩に顔を埋めながら言う結の頭に手を添えて
『うん』と返した。
あとやるからおやすみ、とAが言えばゆっくりとその体が離れる。
そしていつもの様に「ありがと」と笑った。
この笑顔さえあれば、充分だ。
なんにも無くなった自分に、ただ一つだけ残った大切な存在。
『結、いつもありがとう』
「いいの！言ってるでしょ、私はAが大好きだからっ」
そう言い残して、「おやすみ」と手を振って出て行く。
それに小さく振り返せば、静かに扉が閉まった。
_________部屋を出た瞬間
周りに誰もいない事を確認するとスッとその笑顔が消える。
立ち止まり、ふう…と一度息を吐き出す。
「良かった…………他の人に壊されなくて」
ぼそりと呟いた結の声は、誰にも聞かれる事なく闇に消えて行った________________
．
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作者名：noon | 作成日時：2023年4月21日 0時
