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その日の夜、Aは戦慄した。
ここはランドリールーム。
そろそろ乾いたであろう洗濯物を畳むために訪れると
そこには白い人が仰向けに倒れていた。
思わず『ひっ』と声が漏れる。
まさかこんなところに人がいるとは……
驚いて持っていた洗濯物第四弾たちを危うく落とすところだった。
『チームVの……』
そこにいたのは、本日行われた第二試合…………
チームV vs チームYの試合で信じられないようなシュートを決めていた
凪誠士郎だった。
とりあえず洗濯物を置いて、そろりと覗き込めば規則正しい寝息。
ポタリと髪から落ちた雫を見て、サッとAから血の気がひく。
『……髪濡れてる』
え、まじで。
まじか。
この人、風呂上がりにここで寝てる。
辺りを見回せば既に停止している洗濯機。
乾燥機能のついたコレが回っていたワケだから、部屋がほんのりと暖かい。
…………なるほどそう言う事か。
え、そう言う事か?
猫か。
『えっと』
起きそうにない凪を見て、このままでは風邪を引いてしまうのでは、と慌てて声を掛けるが
「んん………むり、…おぶって」
『無理』
起きてくれない。
どうしよう………そう思ったところでAの脳裏に一人の人物が浮かんだ。
『……はっ、いるじゃん
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玲王side
コンコン…と控えめなノックがしたと思えば、そこにいたのは黒髪のマネージャー。
ドリンクやタオルを配ってくれるのはいつも花咲っていう方のマネだったから、こっちは今日やっと初めて会ったばっかだった。
「(へー、珍しい…)」
そういや最初の自己紹介でよろしくしなくていいとか言ってたな。
あんま関わりたくありませんってか。
『みきゃ…………御影くんいますか』
噛んだ。
「(あ、噛んだ)」
「(噛んだな)」
「(噛んだけどスルーした)」
多分、全員思った。
てか最初の雰囲気と別人すぎじゃね?
マジで本人?
「っつーか、俺?」
予想外の呼び出しに渋々腰を上げれば
着いてこい、と言うように黙ったままクイッと顎を動かした。
………コイツ顎で俺を使う気か。
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作者名:noon | 作成日時:2023年4月21日 0時