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ラスト数分で5-0
既にチームXの勝ちは確定している。
でも、そんな中相手ゴールに向かって走り出した潔に、Aは目を見張った。
「ココだね、潔」
蜂楽から蹴り上げられたボールはジャスト潔の足元。
もしかしたら…もしかするかもしれない。
そう期待を込めて見ていた矢先、潔の前に馬狼が立ちはだかる。
『どうする、潔世一』
目の前には馬狼。
背後からは國神と雷市が走り込んできている。
國神には一人張り付いているが雷市はフリー。
誰もがパスを出すなら雷市、そう思った瞬間
「ナイボー潔……!!」
そのボールは國神へと渡った。
『!』
ハッと息を呑む。
そして次の瞬間、その左足がシュートを決めていた。
「っしゃオラぁ!!」
ピッ ピッ ピ_________ッ
5-1で試合終了
チームXの勝ちだ。
だが、Aはじっと潔を見ていた。
『(最後のアレは、もしかして……)』
片手で口元を覆いながら腕を組む。
考える時のAの癖だ。
『(………ゴールへの嗅覚…?)』
「A〜?」
呼びかけられた事にハッとする。
すっかりマネージャーの仕事を忘れていた。
「はいっお疲れ様でした♪」と笑顔でドリンクやタオルを渡す結に、慌ててぱたぱたと動き出すA。
「オイ、マネージャーなんだからしっかりしろよ」
「少しは花咲を見習え」
「俺、花咲ちゃんから貰いたかったわ〜」
いつの間にこんなに嫌われてしまったのか。
むしろ初対面だろ。
ある意味人から嫌われる天性の才能でもあるんじゃないか、と自嘲気味にAは思う。
『黙って汗拭け』
「は?」
『言う人間違えたごめんなさい』
違う違う、ほんとはさっきの人に言ってやりたかったんだ
なんて思いながら目の前の赤い人にタオルを渡す。
元々人と視線を合わせる事が苦手なのだが、特に今は目を見る事ができずに少し俯く。
「アンタ、意外と口悪いんだな」
『はあ、まあ…』
「否定しねーの」
そう言った声にほんのりと含まれる小さな笑い。
見上げれば美人がいた。
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作者名:noon | 作成日時:2023年4月21日 0時