あの日手放したものをもう一度【ブルーロック】 (ページ13)

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脳裏に浮かぶAは随分綺麗な顔をしていた。

眼鏡ひとつでそこまで隠されるのかと思うとある意味すごい。

なんだかAの素顔を知っていることに優越感を感じて

「どうだろうな」と適当に返しといた。

「え〜廻くんと知り合いだったの？」

意外〜という結に対して、少しだけAは先程話を誤魔化した事に罪悪感を感じていた。

ちなみに結は基本誰でも下の名前で呼ぶ。

これは昔からそうだ。

『えっと……トイレの場所聞かれて』

「え！それ聞く人間違ってるじゃん！」

『え？』

「え？」

なんで？という顔で結を見返せば、そうだった〜という顔で結が笑う。

「A、方向音痴の自覚ないんだったね〜」

『方向音痴じゃないよ、ちゃんと辿り着けるもん』

「はいはーい」

ケラケラ笑う結に釣られて、少しだけ口角を上げる。

結と話す時だけ柔らかくなるAの雰囲気に、それを見ていた者達は＂意外だ＂と口を揃えた。

．

"それでは第伍号棟第一試合45分ハーフ

チームX vs チームZ

開戦(キックオフ)！！＂

ついに始まった第一試合。

どんな試合が観れるのか、内心楽しみにしていたAだったが

　

ここは青い監獄(ブルーロック)

FWばかりが集められたチームの試合はひどいものだった。

『(……これいつ終わるの)』

敵味方関係なくボールを奪い合う。

わらわらとボールに群がるお団子サッカー。

正直目も当てられない有り様だが、突如としてそれは打ち破られた。

「俺の前に立つな、ブチ殺すぞ」

『一人、抜き出た』

その人物はチームXの馬狼照英。

圧倒的な技術で敵を抜き去り、完璧なコースで最初の一点をもぎ取る。

_________その後は圧倒的だった。

馬狼を中心としてまとまり始めたチームX。

対してチームZは未だに味方同士で奪い合いを続けている。

ここに来て＂エゴ＂という言葉が邪魔をする。

でも、結局それだけじゃ勝てない。

「走れ潔、ゴール前で逢おう」

「OK蜂楽」

ピッ

ホイッスルが鳴る。

走り出したのは、潔だ。