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『なん…だと』
準備していたビブスを届けてもらうのを結に託し、
試合開始前に間に合うように、Aは各チームの部屋の掃除に来ていた。
まずは試合の為不在になったチームXとチームZの部屋からと思い、今さっきチームZの方は終わらせた。
そんでもってやってきたチームXの部屋。
そこで、Aは衝撃を受けた。
目の前に広がるのは、綺麗に畳まれた布団。
片付けられた衣服類。
物一つ落ちてない床はピカピカだ。
『主婦……いや家政婦?』
専任の人がいるなんて聞いてない。
いやでもさっきのチームZの部屋の有様を見ると、そうじゃなさそうだ。
ぐるぐると思考を巡らせるが、ひとまずやれる事は無さそうなので、そっとAは扉を閉めた。
ありがとう、素晴らしい誰か。
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「あ!早かったねA!」
間もなく試合が開始される。
フィールドに着けば、笑顔で手を振る結が「こっちこっち」と手招きしていた。
マネージャーは選手の状態を把握する為に、基本的に試合は見るように言われている。
だったらモニター室で良いのでは?と提案したが、バッサリ絵心に却下された。
狭いから嫌だと。
………ウソつけ全然狭く無いだろ。
「A〜!」
遠くから呼ばれる声に振り向けば、蜂楽が大きく手を振っていた。
それを見た瞬間、緩んでいた顔がスンと真顔になる。
『(まじてやめてくれホラ結もめっちゃ見てんじゃん)』
「蜂楽……その辺にしとけ」
「顔に話しかけんなって書いてあったな」
「ちぇー」
見かねた潔と國神が蜂楽を嗜める。
その光景を見ていた他のメンバーもAの存在に気付いたらしい。
結と並ぶAはいつも通り無表情で、髪をポニーテールにして眼鏡をかけている。
ふんわりと巻いた髪を下ろして、常に笑顔を浮かべている結と比べると、まるで対照的な二人。
「結ちゃん今日もマジ天使!南無三!」
「分かる!並ぶと差が出るよな〜隣に立つのはツラい」
「見かけで判断するのは良くないぞ」
「えーでも大多数はそう思うっしょ」
「なあ?」と、今村が近くにいた潔に話題を振る。
それに「あー…」と一度考え込んだ。
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作者名:noon | 作成日時:2023年4月21日 0時