40.思わぬ来客。 ページ41
相澤先生の視線が痛い。
そんなに睨まないでくれ、と思いながら話を続ける。
『そのかわり、周りに迷惑はかけませんし、テストでも赤点取りません。
授業単位もきちんと出ます！
どうか、…お願いできませんか。』
そう言って深く頭を下げる。
「…こちらからもどうか、お願い致します。」
察したのか、神倉さんも頭を下げてくれる。
そう、簡単には辞められない。
まだ、夕希ねえを殺した犯人が捕まってない。
今辞めたら、中堂さんのストッパーも手助けもできない。
赤い金魚の手がかりを、絶対に見つける。
それまでUDIは辞められないのだ。
「大丈夫！
その件については続けてもらって構わないのさ！」
「は、？」
『え、！！』
「ほ、本当ですか根津校長？！」
相澤先生と神倉さん、私が一斉に驚く。
どうやらセメントス先生は知っていたらしい。
すると根津校長が、入ってきてくれ、とドアの外に呼びかけた。
「失礼します。
やあ、初めましてだね。
糀谷さん。」
「ご紹介するのさ！
彼は塚内くん、警察の方なのさ！」
『…警察？』
「バイトは続けてもらって構わないのさ！
ただ１つ、条件があるのさ！」
「そう、そのことで呼ばれたんだ。」
そう言って、私の前に座る塚内さん。
「この後、ヒーロー科は体育祭で指名されたヒーロー事務所に行って、職場体験を行うのさ！
軽い就職活動みたいなものさ！
そこで君には、職場体験は警察の元で働いて欲しいのさ！」
『え、』
「と、言いますと？」
神倉さんが冷や汗をハンカチで拭きながら言う。
「今現在、追っている事件が２つあるのさ！
その事件に、UDIとしても、職場体験としても、両方協力して欲しいのさ！」
『わかりました、構いません。』
「、！！
いいのかい？
行きたかった指名先があったりしないの？」
塚内さんが驚いた、といった表情をこちらに向ける。
『ヒーローにはなりたいですが、UDIも続けたいんです。
最終的にはどちらか決めなければ行けませんが、まだ決着してない事件があるので…。
大丈夫ですよ！警察からの解剖協力はうちも元々やってましたし！
個性がいい道で使えるのなら、今はどこだって構いません。』
「糀谷さんは大人らしい子なんだね。
では交渉成立だ、よろしく頼むよ！」
塚内さんは出て行った。
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作者名：mana | 作成日時：2021年7月1日 1時
