19.誰かの未来を。 ページ20
ヒーロー科に入るために鍛えておいてよかった。
持ち前の体力を活かして全力で走る。
息が上がり、脚がプルプルといっている。
辛いけど、今はどうだっていい。
ここで終止符を打てれば高野島さんを、ご遺族を、院内の患者さんを救える。
誰かの、誰かの未来を救えるから。
走り続けること約10分。
道の先にツバキメモリアルホール、と書かれた敷地を見つけ、迷わず中へと入っていく。
『ハァッ、ハッ、ちょっと、すみません。
すみません、通してください！！
すみません、！』
喪服を着た人達をかき分けて隙間を通る。
『あ、！もう炉の中、！！』
最後の望みをかけて炉裏の部屋に入っていく。
後ろから遺族の方の制止が聞こえる。
「ちょっと！なんなのアンタ！！
ちょっ、ちょっと！！」
『あっ！あった、！！』
消火ボタンを両手で押す。
プシューーー、と火の消える音がした。
「A、！！」
「Aちゃん！
ご遺体は？！」
『棺は焼け落ちた、けど中のご遺体は無事だよ。
まあ、…ちょっと焦げたけど。』
「遺体、どうやって運びましょう。」
「UDIに電話して、車と納体袋頼んでおいて。」
「、はい。」
『…じゃあ、ご遺族に解剖許可貰ってくる。』
「私も行くよ。」
「あ、三澄さんAちゃん、コレ。
中堂さんが、コレがあれば遺族の承諾なくても解剖することが出来るって。」
『…今日だけ準備万端なんですね、全く。
大丈夫です、要りません。
…機械に強制をしても、人に強制はしたくないです。』
「あ、電話早くね、よろしく久部君。」
「アンタねえ！！！
なんの権限があってこんな事してんの？！！
火葬取り止めなんて、聞いたことないよ！
遺族になんの説明も無しに、やっていいことじゃないでしょ！！？」
『お別れの時にお騒がせして、本当に申し訳ありません。お詫びします。』
「申し訳ありません。」
深く頭を下げる。
「謝って済むことじゃないでしょ？！」
『はい。
少しだけ、話を聞いてください。
…大事な話です、！』
○立ち位置的に、ミコトの位置を奪ってしまうことが多々あると思います。
原作がお好きな方に対しては申し訳ないです。
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作者名：mana | 作成日時：2021年7月1日 1時
