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｢……って言われてもわかんねえよ、一方的に懐かれちまって……｣
｢許可する前に既に名前で呼んできたしの。｣
｢はあ……とにかく、俺たちは入部には反対なんだ。もう連れてこないでくれよ。｣
｢だから俺らも連れてくる気はさらさらなかったんだって……なあ柳、あいつ元テニス部なんだろ？なんか知らねえの？｣
｢……知らないことはない。データはある。｣
そう言うと柳はぱらぱらとノートを捲り、Aの情報を読み上げ始めた。
｢……雲井A。元星ノ上中テニス部員。あれでもレギュラーだ。だが、テニスの腕前にはこれと言った特徴はない……｣
｢はあ？そんなんでよくレギュラーになれたよなぃ。星ノ上ってそんな弱ぇのかよぃ？｣
｢いいや。星ノ上中は我が立海に次ぐ、県内２位の学校だ。いつも県大会の優勝争いで顔を合わせている。雲井も以前、先輩と戦った。｣
｢あれがのう……そんなようには見えんかったが。｣
｢ああ。言っただろう。奴のテニスの腕前は、至って普通だ。……だが、奴には飛び抜けて備わっているものがある。それが、体力と精神力だ。｣
｢精神力？｣
｢奴は、試合中に言葉で対戦相手を攻めていく。その言葉の使い方が厄介なんだ。時に相手を取り込み、そして……相手を、破滅させる。……奴は誰よりも、人の精神を壊すのがうまいんだ。｣
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作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2015年9月10日 3時
