■３８■ ページ40
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｢……と、いうわけだ。理解したか？｣
｢あーそっか！そういうことなんすね！へへ、やっぱ柳先輩わかりやすいや！｣
参考書を前に、切原がにかっと笑う。それを見て、Aは不満げに、机に肘をつきながら呟いた。
｢……なんだよー……僕んときはそんな顔しなかったくせに……｣
｢もーちょいA先輩が優しーくわかりやすーく、んでもってやっさしいーく教えればいいんじゃないっすか？｣
｢おいなんで今優しくって二回言った！？僕充分優しくしたつもりなんだけど！？｣
｢優しくないから言ってんじゃないっすかー。あ、もしかして……俺の言ってることわかんないっすか？｣
｢んだとお！？お前より一個上なんだぞ僕は！それに馬鹿なのはお前だろー！やーい赤也のばーか！ぶあぁーか！！｣
｢あぁ！？｣
｢落ち着け。大人気ないぞ雲井。赤也も馬鹿にされたくらいで充血するな。｣
｢だってー……｣
さっとあいだに柳が入る。まるで切原が二人になったようだと、小さくため息をついた。
｢どう見てもコイツが悪いだろ蓮二！？なんか言えよ、僕悪くない！｣
｢喧嘩両成敗だ。｣
(……ん？)
はた、と柳の思考が止まる。
自分は何故今、
｢……？｣
｢柳先輩ー？｣
｢……ああ、赤也。なんでもない。｣
(……だが、なんだ……対して、不快感を感じない……)
もしや、自分すらもAに取り込まれたというのだろうか。
柳はほんの少しの恐怖を抱きながら、参考書をそっと閉じた。
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作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2015年9月10日 3時
