DEAD EMPEROR 【真田弦一郎/男主】 (ページ36)

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後日。部活を終え、着替えるAの元を訪れる幸村の姿があった。

｢雲井。｣

｢……ん？どったの部長さん。｣

｢あのさ。……この前言ってた君の友達のことなんだけど。これ、渡してくれないかな。今度見舞いに行った時でいいから……｣

｢え？お、おお……なにこれ、お守り？｣

幸村が手渡したのは、白い紙袋。お守りらしき影が、部室の電気に透かされてそこに映っていた。

｢そう。ここ、結構御利益あるんだって。｣

｢へー……でも、なんでいきなり？｣

｢ん……まあね。俺も、似たようなことあったから……どうも、他人事には思えなくて。｣

一度テニスを奪われかけた幸村には、Aの友人という人物の気持ちが痛いほどわかった。

大好きなものを奪われる恐怖。当たり前のことが出来なくなっていくかもしれないという悲しさ。

それは、そんな経験をした幸村だからこそ、痛感できるものがあったのだろう。

その友人の容態を聞いたり、Aに助言をするために。幸村はその日から、足げくAの元を訪れるようになったのだった。