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■２８■ ページ30
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Aはぱ、と真田の手を離し、何事もなかったかのように切原たちのもとへ駆け寄った。
｢あっかやー！まさはるぅー！ぶんたぁー！ひろーっ！ジャッカルーっ！やったよー！｣
｢やったっすね、A先輩！｣
｢これでお前とテニスでも勝負できるなぃ！｣
｢まさか本当に真田くんを負かすとは……やりますね。｣
対して。真田は、手を離されたあともそこから動くことはできなかった。
｢弦一郎！！｣
Aに注目が集まる中、真田に駆け寄る人影が二つ。幸村と、柳の影。
｢大丈夫か、弦一郎！！｣
｢真田っ……｣
｢……っ……｣
何も、言えない。どうにも、動けない。
それほどにAが向けた｢武器｣は、真田の体の深くまで突き刺さり、抜けなくなっていた。
｢だから無茶をするなと……おい、弦一郎、しっかりしろ！……弦一郎！！｣
｢……っれんじ……ゆきむら……｣
ようやく真田から出された声は、か細く、弱々しいものだった。
独裁者、というフレーズが何度も真田の頭の中を駆け巡る。
そんなはずはない、と否定をしても、その言葉は消えることはなかった。
(……俺は……)
俺は、独裁者？
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作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2015年9月10日 3時
