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元はといえば、テクニックは真田の方が一枚上。これと言った特徴のテニスを持たないAは、防戦一方だった。
そうして、あっという間に5-0。あと１ゲーム取れば、真田の勝ち、というところまで行った時だった。
｢案外呆気ないな。貴様の力はこんなものなのか、雲井A。｣
｢うーん……どうもそうだったみたいね。やっぱ強いなあ副部長さんは。｣
｢……大人しく負けを認めるとはな。まあいい、早くサーブを打て。｣
｢わかってるって。……あーあ……入りたかったな、テニス部。しょーがないや。それっ……｣
そう、Aがボールを上げた時……だっただろうか。
｢っ……頑張れ……頑張れー！A先輩ーっ！｣
｢！？｣
コートの外から響く、聞きなれた声。不意を突かれた真田の横を、Aのボールが掠めていった。
｢……な……｣
動揺しない方が、おかしい。だって、声の主は。
｢A先輩！絶対絶対絶対勝って、テニス部に来てください！俺、A先輩とテニスしたいっす！｣
自分側にいたはずの、切原だったから。
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作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2015年9月10日 3時
