■１２■ ページ14
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｢……え、｣
すっとAの顔から笑みが消えた。
反対に幸村は、にこりと笑ってAに続ける。
｢どうしたんだい、そんな顔で。｣
｢……いや、普通そんなこと言われて笑ってられるわけないっしょ？｣
｢嫌かい？嫌ならいいんだ、入らなければいい話だから。｣
｢……｣
(……こいつ……)
その時。Aの目つきが、静かに変わった。
何かを見据え、何かを悟った。……そんな目で。
｢……ねえ部長さん。そんなに僕のこと、嫌い？｣
｢何をいきなり。まああまり好きではないかな。｣
｢酷いなー、それ本人前にしていうかあ？｣
｢ふふ。｣
｢まあさあ、誰とも喋るなって言われた時点で嫌われてんなーって気はしたけど。……もーちょいブン太みたいな人かと思ったんだけどなー。｣
｢あいにく、俺はブン太とは違う人間だからね。｣
｢ふーん……あーあ、ブン太みたいに楽しくて優しい人が部長だったらなー。｣
｢それ、軽く俺のこと貶してるよね？｣
｢あれっ……あー、ごめんなさい、つい。だってブン太はさー……｣
ブン太は、ブン太は、とひたすら丸井を話題に上げるうちに、幸村のほうもだんだん苛立ってきた。
話の趣旨が、どんどんずれていく。ついに、我慢できなくなって幸村は口を開いた。
｢あのさ。話、だいぶずれてるんだけど。｣
｢んーそうかい？ごめんごめん、僕もつい夢中になっちゃって！ブン太は雅治と違っていい奴だし……｣
｢……！｣
ぴくりと幸村のこめかみが動く。それを、Aは見逃さなかった。
｢……ほーら、やっぱ反応したね？そろそろそのかっこすんのやめたら？なー。雅治？｣
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作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2015年9月10日 3時
