過去の憧憬 ページ32
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煙管をくわえ、落ち着かせる様にゆっくりと紫煙を吐く。出てきたソレはゆらゆらと揺れて、上へ上へと登り天井辺りに行くと、音もなく消える。
その何でもないような一連の出来事を飽きることもなく、数十秒見詰めていれば、
「…お前がソレ吸うと違和感しかねェな」
『酷いですね、流石の私も傷付きますよ』
彼に一目もくれず伺うように言えば、ぬかせ、と一言帰ってくる。返上された言葉に彼らしい、と少し唇に弧を描く。
そしてふと思えば、緊張も大分和らいでいる。……そして、ぼそりと、
これをくれたアンタには感謝しなきゃね。__晋助。
そう、胸中で呟いた。
ふと、懐かしい名が出てきた所だし、と適当に理由を付けて、脳内で、…昔の記憶の中でも比較的綺麗な___“過去の憧憬”を思い出す。
そして懐かしくも、昨日の事のように覚えているソレらに、こんなこともあったなァ、と思いを馳せては感慨に浸る。
__例えば、銀時と晋助が習字の時間、先生が居ない隙をついて遊んで障子を墨だらけにして怒られてたことだとか、
他には、宝探しで宝として使った小太郎の本が見つからず、ネタ明かしの時に、隠した銀時が隠し場所を忘れて、みんなで探したけど見つからなくて、でも実は銀時の懐に入っていて、みんなで大笑いしたことだとか。
思い返すと、胸の中が暖かくなると同時に、しみじみとした気分になってくる。
___そして、何を思ったか私は、
「…あっ、オイ!」
まだお酒の残っている、土方さんのソレを奪うと、一気に飲み干し。
「__ッぷはぁ、……ねぇ土方さん。…“血染めの死神”って知ってますか。」
自分の意思か、酒の所為か、そんなことを口走っていた。
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暇愛*(プロフ) - 狗冰さん» ごめんなさい、レス押すのを忘れてました…… (2019年7月15日 13時) (レス) id: 6dbb02dd11 (このIDを非表示/違反報告)
暇愛*(プロフ) - ありがとうございます!稚拙な作品ですが、よろしくお願いします! (2019年7月14日 20時) (レス) id: 6dbb02dd11 (このIDを非表示/違反報告)
狗冰(プロフ) - 面白そうです!更新ファイト! (2019年7月14日 19時) (レス) id: aa5a4ed97b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暇愛* | 作者ホームページ:
作成日時:2018年6月11日 2時